ルシアンホールディングス関連のM&Aトラブル報道について考えたこと


本年は表題のルシアンホールディング関連のM&Aトラブルに注目が集まり、すわ規制かという話も取りざたされております。全ての個別の案件について詳細な情報を知りえているわけではありませんが、報道によると借入のある法人について、その負債も引き継ぐという条件の下で売買が成立したが、実際には借入の連帯保証人(売主)の名義変更がなされなかったというちょっと信じられないようなケースでした。

というのもまず大前提として、連帯保証の名義を書き換えることが難しい。これを銀行などが認めるかどうかが不透明で、必ず譲渡前の段階でこの点について確認を取らなければいけない。そして買主が譲渡後に確実に名義変更を実施してくれるとは限らないため、仮契約の時点で売り手と買い手が一緒に銀行に行って手続きを行う、それが済んだら本契約で売買成立というような流れになります。

通常であれば負債がある法人・事業を譲渡したいというお問い合わせがあれば、ある程度譲渡が成立する可能性の高い魅力的な案件だという前提の下で、先に借入を完済する、あるいは譲渡の代金で返済をする(当然これも事前に銀行に話をしたうえで、売主と買主が一緒に行く)といった方法を考えます。負債をそのまま引き継いでくれなんて、よほどのことがない限りそんな美味い話はありません。

上記を見ればわかる通り、負債のある状態でのM&Aはまじめにやろうとすると実務的にかなり難しいです。面倒なことが多いためM&A仲介業者の立場から申しますと、それなりの規模の譲渡案件でかつ成約の可能性が高い案件で無ければそもそも着手する気が起きないような案件になります。

M&A業者で、上記に挙げたような注意について一切売主へ伝えることなく売却をすすめたのあれば、それは詐欺に限りなく近いと言わざるを得ません。また噂で聞く限りではそれがかなり大手の業者だったというのは驚愕で、厳しく糾弾されるべきと考えます。



弊社が休眠会社のM&Aを会社売買と称して事業を営んで10年近くになりますがその間に業界の様相は様変わりしました。数年前からはM&A関連事業を営むかなりの大企業なども『会社売買』というワードに対して積極的に検索広告を被せてくるようになりましたし、明らかに業界経験に乏しい自称M&A仲介業の業者から問い合わせが来ることも珍しくなくなりました。

一方でM&A仲介に規制と考えるとどういった法的な根拠に基づくのか、制度設計など含め簡単ではないと思います。またM&Aが不動産業などと違う点は、売主も多くの場合は経営者であり一般消費者とは異なる点が挙げられます。M&Aは生活に必須の事柄ではありませんので、規制を行うにしても比較的簡易な登録制が妥当なところでしょう。某企業が主導している協会などが噛んで利権化されるのは勘弁願いたいものです。

M&Aをご検討下さっているお客様におかれましては、全く右も左もわからないような場合にはやめておいたほうが良いでしょう。逆に小規模であっても自分で事業を営んでいる方であれば、やはり少し話せば勘所をつかんでスムーズに話をできるお客様が多い印象ですので、そういった方にとっては弊社としてもおすすめできます。あとは美味い話はないということに付きます。適切な譲渡価格、適切な買収価格があり、おかしいなと思ったらセカンドオピニオンではないですが他の業者に聞いてみるのも1つの手です。