登記懈怠にご用心!


今でこそ取締役の任期が10年までOKになりましたが、かつては2年でした。
ですが中小零細企業の場合は、長年同じ人物が役員を務めるケースがほとんどだと思います。
当時はそのつど再任の上、登記を行わなければなりませんでした。
これを重任登記といいます。


ずっと稼働していない法人を売却したい、という場合注意していただきたいのがこの点です。
この重任登記を怠っているケースに注意です。
これを登記懈怠と申しまして、過料(罰金のようなもの)の請求を受けるリスクがあります。
正直100%受けるわけではないのですが、たまに当局がチェックしてるようで運が悪いと請求が来るんですね。
この場合、過料の納付義務は法人ではなく、登記すべき事象が生じたときに取締役だった個人になります。
つまり登記懈怠の合った法人の場合には、売却した後でも過料の請求がくるケースがごくまれにあるのです。

この過料というのがまた非常にあいまいでして、100万円以下の範囲で裁判所が金額を決めることになっています。
ところが金額の明確な基準がなく、そのつど適当な金額を請求されるという馬鹿げた制度なのです。
だいたい3万円〜10万円というところでしょうか。
なお登記懈怠は刑事罰ではなく行政罰ですので前科つくといったたぐいのものではございません。


上記の様なことがありますので、重任を怠っている会社のM&Aをお考えの方は一度ご相談ください。

重任登記が必要であったかどうかは結構微妙な問題で、必要ないのに必要だったと誤認している方も多いんですね。
また、登記懈怠の過料を上回る売却代金が見込める法人の場合であれば、当然万が一過料の請求が来ても売却する価値があるということになります。


なお、前述しましたが現在は取締役の任期が最長10年まで認められることになっております。
今回の登記懈怠がどうの、という話は平成18年の会社法改正以前に重任登記が必要だった法人が対象となります。
休眠会社については12年でみなし解散となりますので、まず登記懈怠でどうのこうのということはないかと存じます。


では今回はこの辺で。